4/27のねこさん 文は田島薫
新人つーとんがまた来た
きのうの午後、洗面所で花粉症の目を洗ってたら、2階の居間にいた家人がねこ
ねこねこがいるはやく、って私を呼ぶんで行って窓から下をのぞくと、正月のこ
ろ一度来たことのある新人つーとん(上下にグレーと白のツートンカラーの昔都
内の事務所にいた時におなじみだったねこさんに似てるねこさん)が道路の方か
ら入って来てて、ゆっくり前の方をうかがいながら歩いて行くとこで、見てると
そのまま歩いてベランダの下の死角に消えたんで、四畳半の部屋に移動して窓か
らねこさんがやってくるはずの方見たらいないんであれ、ひょっとして、って思
った通り、すでに真下に来ててこっちを見上げてる。よ、なにしてんだ、ゆっく
りしてっていいよ、だいじょぶだいじょぶ、逃げなくてだいじょぶ、などと、い
ろいろ話しかけてたんだけど、しばらくじっと聞いててから、急に体勢を変えて
道路の方へ走って行った。
ここの草いっぱい生えてるとこ、わりと好きなんだよな、え、っと、ここのどっ
かで陽なたぼっこできたら最高なんだけど、わりと陽陰っぽいね〜、お、あっち
の奥の方に陽が当たってるとこあるみたいだね、お、ここだここだ、さて、ここ
に寝そべって、みよーかな、って思ったとたんに、上の方で物音がして、お、だ
れかがぼく見てなんか言ってるね〜、なに?ここで陽なたぼっこしちゃいけない、
って?、いや、なんだか、笑ってるから、ちがうのかな、ずっとなにか言ってる
からぼくになにか言いたいことがあんだろーね、なんなんだろーね、だから、な
んでっか?ってぼくは目で聞いてるつもりなんだけど、なんだかごちゃごちゃ言
っててわかんないね〜、とにかく、こんにゃろがどっか行ってくんないと、こっ
ちも陽なたぼっこしてくつろいでられる感じじゃないね〜、しょーがない、じゃ、
こっちがどっか他へ行くか、なんだいなんだい、ばーろー。