3/23のねこさん        文は田島薫

屋根から下りてたねこさん


先週の土曜の午後、家人の父親の葬儀の合間、坊さんを待つ時間が1時間半もあっ

たんで、善光寺行って来よう、って家人とローカル線の駅のそっち側のホームに行

くと、前回、ホームわきの家の屋根にいたホルスタイン柄のねこさんが家とフェン

ス越しのホームとの間の砂利のスペースにいた。何か上げよう、ってさっき出たお

茶菓子の残りのチョコどらやきか海苔つきせんべいのどっちか、って、チョコはね

こに毒だと聞いてたんでせんべいの方持って手を上げてあいさつすると、お、って

顔してすぐにフェンスくぐってホームに上がって来た。鼻先30センチぐらいのとこ

で止まったんで、ひょい、って投げてやると、慌ててフェンスの外へ逃げてから立

ち止ったんで、今度はそこへ投げてやると、また慌てて向こうへ逃げてから立ち止

りこっち見てるんで、ほら、そこそこ、って指さしでせんべいの落ちてる場所教え

てやると、ゆっくりとやってきてやっと探しあてて食べてる。


いやいやい〜天気で気持ちい〜ね〜、きょうはこの暖ったかい小石のいっぱいの上

で昼寝すっかな。ん?だれかこっち見てなんか言ってるね〜、え?なんかくれるの

?え?うんまいもんくれんのか?じゃ、そっち行けばい〜んだな、ととと、って、

あり?まてよ、知らない人んとこへこ〜やってすぐに行っちゃってもよかったんだ

っけかな?いや、でも、知らない人じゃない気がしたんだよな、知り合いのよ〜な

気がしたんだよな、な、わけないんだよな、やばい、ここらで、ぴたっととまって、 

すぐに逃げられるよ〜にしといた方がい〜な、ほらっ、きたっ、だっしゅっ!、あ、

なんだ、なんかくれるもん投げただけか、じゃ、また行ってみっか、ありっ、また、

やばい、だっしゅっ!あ、また、くれるもんだったか、え?なに、そこにあんの?

投げてくれたもん、こっちか?ここか?もっとあっちかな、こりだこりだ。


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