3/16のねこさん        文は田島薫

バイパスわきの家のねこさん


先週の晴れた朝、私の妹の運転でその娘と家人と売ることになった両親のいた茨城

の家へ墓参りも兼ねて行くことにして、あまり周囲に建物もないバイパス道路を走

り赤信号で停止した時に、われわれの車のわきにある家の方をふと見ると、広い庭

から一段下がって手前に続く家庭菜園畑らしい境界に白黒縞の中肉中背のねこさん

が足を止めてこっちを見てるとこだった。ほら、ねこがいた、え?どこどこ、って

あ、ほんとだ、って言ってるうちに、一段前足だけ下ろしてから、伸びをしたよ〜

なしないよ〜な様子の時(どんな様子だっ)、車は走り出した。


さ〜てごはんも食ったし、きょうもい〜天気だから、ちょっとあっちの方行って、

腹ごなしに虫さんと追っかけっこでもしてから、日なたぼっこして寝っかな。

ここいらは広々しててい〜とこだし、かけっこすんにもい〜かもしんないんだけど、

それだけなんだよな、もっと、いろんな草さんとかさ、木さんとか、水の流れさん

とかがあって、暑い日なんかに涼しくしてくれたり、だれかさんとかくれんぼして

遊べるとかできたらもっとよかったんだけど、もっともそうだとしても、ぼくにゃ、

いっしょに遊んでくれる友だちなんかいないんだけどね。それに、ぼくが、こ〜、

のんびりくつろご〜としてると、向こうの道じゃ、いつだって、箱みたいなのが後

から後から行ったり来たりしてんのが落ち着かないんだよな。でも、たまにその箱

が止まることあって、そん時はぼくはそっち見るんだ、ほら、向こうでも箱ん中か

らこっち見てるのがいんね〜、そっちは忙しそ〜だね〜、こっちはのんびりできて

いごこちい〜んだよ〜、だっ、うらやまし〜だろ〜、や〜い。


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