8/4のねこさん        文は田島薫

涼むねこさん


先週の暑い午後、ビールや牛乳や水類を買いに家人と近所のスーパーに行った帰りの稲

荷神社となりの家。狭い庭をのぞくと、ねこさんたちの姿は見えない。あ、いないや、

って言ってから念のため見回すと、垣根の外の奥の家へ行くアプローチのコンクリの樹

陰にミケが寝そべっててこっちを見てる。ミケはグレーと違っていつも愛想はないのを

われわれはわかってるから、一応、よ、とか、お、とかあいさつして、しばらくながめ

て別れる。少し歩いてからふり返って見ると、ミケはもう、そっぽを向いてた。


いやいや、あっちかったのなんのって、やっと、ここでちょっと涼しくて安心したね〜、

しかし、みんなはど〜してっかな、こんなあっちー中出かけちゃって、どっかで倒れて

んじゃね〜んだろ〜な〜。いやいや、それにしても、ここは、けっこ〜い〜ね〜、いや

いや、前からいいとは思ってたんだけど、思ってたより涼し〜ね〜、日なた歩いてるや

つがバカに見えるよね。お、バカがふたりこっち見て笑ってるね。おいおい、早く帰っ

た方がい〜よ〜、そんな暑いとこ突っ立ってると、バカがもっとバカんなっちゃうよ〜。

お、行った行った、よかったよかった、早く涼し〜とこ帰んなよ〜。


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