2/3のねこさん 文は田島薫
こっち来たねこさん
きのうの午後、家人と近所のスーパーへ買い物に行った帰り、神社となりの家とのアプロ
ーチにグレーのねこさんが立ってたもんで、お、って立ち止まってながめた。
家のかきねの方も見るとそっちには発泡スチロール箱にミケが寝そべってる。われわれが
もと来た方を見ると、ちょうど金子さんが買い物から家の前まで帰って来たとこで、こっ
ち見てるんであいさつして、なお、われわれがながめてるもんを知りたがってるようなん
で、指さして、ね・こ、って言ったら、こっちへ歩いて来た。
金子さんは一人暮らしの94才で腰が少し曲ってる他は元気いっぱい。ねこさんにエサやっ
てるその家の奥さんを知ってて、どっかねこ欲しがってる家ないか、って言ってた、って。
じゃ、おまえ、うち来るか?ってグレーのねこさんに言ってみると、ほんとにこっちへ歩
いて来たもんで、家人にどうすっか?って相談すると、最近泊まりがけで出かけることあ
るし、って、じゃ、ペンディング、ってことに、ねこさん、それを聞いた後で(?)、わ
れわれをすりぬけて、神社の坂をちょっと下って別のミケと遊んでいる。
や〜、きょうはけっこ〜あったかいから、だれかとくっついてる必要ないね〜、さて、散
歩でもすっか、つってると、行く手にまたあの怪しい2人組が立ってるね〜。ど〜すっか、
ね〜、ちょっとここで、様子みて、帰るの待ってみっか。あ、うちのおばさんと友だちの
おばさんが来たね〜、それと2人組が話してるぞ、じゃ、大丈夫か。もし2人組が、ぼく
をつかまえようとしたら、おばさんがうちのおばさんに教えてくれて、おばさんが、2人
組に、こらっうちの子をどーしよーってんだっ、つって怒ってまもってくれるはずだかん
な、きっと。おし、じゃ、ちょっと散歩に出発すっか、でも、すーって通りぬけちゃうと、
かえって、つかまえる気持ちにさせちゃうばやいがあるから、ちょっと、ぼくは、いやな
んじゃないんですよ、ちょっとなでてもらってもぜ〜んぜんかまわないんですよ、って、
かんじでど〜ど〜と、行くか、ど〜ど〜、って歩いて行く、て〜と、おっと、やっぱ、背
中なでられちゃったか、きもちわり〜、さて、も〜い〜かな?行っても。