8/26のねこさん 文は田島薫
魚食堂のねこさん
房総半島の岬に妹の運転するレンタカーでその娘と家人で1泊旅行行った時道路沿いに魚
料理ランチなどの旗立てた店があり、遅い昼食に立ち寄った。海までは何キロかあるし、
近所には工場なんかもあったりトラックも行き来してる、木陰もないコンクリの殺風景の
炎天下の駐車場に車を止めて、倉庫と一棟になった造りの食堂の入口の方へ歩いて行くと、
倉庫の入口の日陰にうす茶のとらが寝てて、こっちに気づいたのか気づかないのか、立ち
止ってながめてても、体勢は変わらなかった。
ぼくは、ご飯の後ここでいつも昼寝すんだよな、ま、もっとも、ここ以外のとこ出かけよ
ーと思っても、熱い固い道ばっかでおもしろくないわ気持ちわるくなるわで、こりちゃっ
て、ここにいるしかないんだけどね。なんだか、遠くから、魚のにおいがしてきて、仲間
の話じゃ、水がずーっと遠くまでいっぱいの魚もいっぱいいる場所からのにおいなんだ、
って言うもんで、夜んなって少し涼しくなった時に出かけてみたこともあるんだけどね、
やっぱりずっと固い道が続いてるばっかでさ、腹ぺこにもなっちゃうし、すぐ引き返しち
ゃったんだ。だって、魚なら毎日、ここに寝てるだけでおじさんがくれるから、そっちの
が楽ちんってことなんだね。ぼくはぐーたら、ぐーぐーねこ、ってことなんだね。