7/1のねこさん        文は田島薫

涼んでるねこさん

先週末ごろ、家人と都内へ行って帰って来た駅からの一本道、もう午後の7時だってのに、

まだ陽がさしてて、午後いっぱいほとんど日陰がない道はまだ暑い。横道を見るとアパー

トの向かいの家の前の日陰でうす茶のねこさんが寝そべってた。よお、ってふたりで声か

けたりして、立ち止っても、ちら、ってこっちを見ただけでそれ以上の反応はない。


や〜、あっちかったね〜、死ぬかと思ったね〜、そこの道歩いてた時にゃ〜、頭がぼー、

ってなってきてさ、あり?ぼくはどこ歩いてんだけ?、ここはどこ?、で、ぼくはだれ?

って感じんなって、こっちの方へなんとか来れたからよかったものの、あのまま道歩いて

たら、も〜、いまのぼくはいなかったね〜、ばかんなってたね〜、や〜やばかったやばか

った。さっきまでは、体があっちくてまいったけど、ここで、じっとしてるうちにやっと

落ち着いてきたね〜、すずしくて、しずかなのが一番だね〜、も〜、ここで、なんにもし

ゃべんないで、しずかにくらしてもい〜、ってぐらいだね〜、…、つってると、向こうで

こっち見て笑ってんのがいんね〜、のんきなふたりぐみ、だね〜、ほっとこ〜。


戻る