5/7のねこさん 文は田島薫
ねこさんが来て帰った 2
連休中の土曜日、家人と近所のスーパーでビールや牛乳なんかを買って帰って来たら、
わが家をとりまく雑草園の玄関の向こうの雑草の中を小さめの黒ねこさんが歩いてて、
家の角を曲るとこだった。先に気づいた私が家人を連れて角まで行き、曲って行った
方を見てみると、わが家の向こう角の雑草を乗り越えたとなりのアパートの貯水槽の
下で寝ころんでて、こっちに気がついてない模様。見てると、やがて立ち上がり歩き
出したんで、またわれわれも道路の方へ先まわりして出て来るのを待ってると、のん
びり歩いて来たねこさん、われわれに気がついたんで、おーい、って声かけたら、ち
ょっとあわてて道路の方に小走りしてって、道路の坂になってる方をのぼって途中の
家のフェンスん中入ってって見えなくなった。
シロジローのやつが、山で鬼にあった、って言うから、ばーろー、そんなのいるわき
ゃねーだろー、つってしらべに来た、つーわけなんだけど、こ〜、わけいってもわけ
いってもあおいやま、ってだけじゃねーの。も〜、山をひとまわりしちゃうよ、でも、
こ〜、草ん中ばっかしだと、ぼくはどこにいんの?って感じんなっちゃって、そうな
んすっとやばい、お、あっちに高くなってるとこあっから、行って、よいしょ、って、
ん〜、たいして見晴らしよくないね〜、でも、ま、草がないから歩きやすい、さて、
鬼なんかいなかったよ〜、ってことで、帰っか〜、って歩いてくと、だれかの声が草
ん中から、わ、鬼だ〜、やばい、ととととととと、おいおい、ふり返っちゃうと食わ
れちゃうんだろー、やばいやばい。