12/24のねこさん 文は田島薫
わらにのったねこさん
晴れて寒いきのうの午後、ダウンを着て家人と駅の向こうまで買い物がてらの散歩に出
かけたら、途中の住宅や道路や高架鉄道に囲まれた小さな畑のまん中に太めのとらねこ
さんが背中をまるめて寝そべっていた。ねこさんが乗ってる下にはちょうどほし草のよ
うなもんがその一面に敷かれてて陽も当ってる。お、ねこさんだ、って言って、ちょっ
ちょっ、ってふたりして舌で合図送ったんだけど、ねこさんこっち向かないでしらんぷ
り、畑沿いにずっと歩きながら合図送って道を向こうへ渡り、だいぶ離れたとこで家人
がふり返ってみると、ねこさん、顔をこっち向けてこっちを見てた、って。
や〜、きょうはさび〜こと、しっかし、い〜とこ見っけたよな〜、ここ、い〜ね〜、あ
ったかくて、この、さふさふ、としたこの場所、ぼか〜気に入ったね〜。おひさまも当
ってぽかぽか、も〜、さいこ〜、も〜、ぼか〜、ここを動かないね、ここに住んじゃお
〜かね。いやいや、まいった。これで、風が吹かなけりゃもっといんだけど、たまに、
ひゃっ、っとすんのが来んね〜、でも、ま、この下のさふさふさんとおひさまさんがそ
れを吹っ飛ばしてくれるぐらいあったかいから、も〜、ぼか〜、動かない、動かない、
ったら動かない。なんだかだれかがぼくになんか言ってるよ〜な感じがするけど、ん?
目のはじっこに変な2人組がいるけど、ほっとこ、だれがなんつってもぼか〜、ここを
動く気はないんだかんなば〜ろ〜。つってるうちに、2人組も帰った帰った。