12/2のねこさん 文は田島薫
アスリートうしねこさん
土曜日の午後、事務所でいろいろ調べものしようとしてたら、家人がドアの外から、ね
こがきてる〜、って言うもんで、どこに、って聞くと、そこ、って言うんで、事務所の
窓のすだれ越しにのぞいてみると、窓の外の雑草原からフェンスのすきまをまたいで奥
の家へ続くコンクリのアプローチへ下りた白地に黒ブチ柄のうしねこさんが見えた。
玄関のドア開けて外へ出て、雑草踏みながらそのあたり行って、フェンスの上から下の
ぞくと同時にさっきと同じ柄が出口の方へ閃光のように走った。そっちへ行って見回し
てみても、もう、どこにも姿は見えなかった。
や〜、この山道しっこすんのにはちょうどいんだけど散歩すんのはなんだか、歩きにく
いね〜、歩きにくい、ってことは走りにくい、ってことにもなるわけだから、もし、こ
の山道で山男に出会ったらあぶない、ってことにもなるわけだ、そーすっと、やっぱり、
ここにずっといるのはやばい、ってことにもなるわけだ、そーすっと、ぼくは、どーし
ても、こっちのきれいな道の方に足が向いちゃう、ってことになるわけだ。よし、これ
で、も〜、山男が来てもさーっと逃げられる、ってもんだ。あり?まてよ、も〜ここは
きれいな道だから山じゃない、ってことになる、つーと、山男は出ない、ってことにな
るわけか、な〜んだ、つってるそばから、山男が出たー、逃げろー。