11/5のねこさん        文は田島薫

メタボねこさん

きのう自転車で図書館へ行った帰り、古くてでかい2階立てアパートの金網フェンス

の入口のすぐわき、でかい貯水タンクの手前にでっぷり太った背中が茶であとはまっ

白なねこさんが立っていた。間にフェンスがあるからか数10センチぐらいのとこから

ながめてる私を見つめてて動かない。しばらくじーっと見つめあってても、動かない。

ちょっと目をそらして周りを見回すふりをしてみたら、ねこさんも同じように見回し

た。フェンスの入口の柱に、ねこにエサ出さないこと、って書かれた古びたプラスチ

ックプレートがかかってる。で、また見つめあってる、まる3分ぐらいそうしてると、

さすがにねこさんの方も飽きたらしく、ゆっくり体の向きを変えてタンクの下に下り

てから、そばに少し生えてたクローバらしき葉をかじったりしている。じゃ、ってそ

の場を離れる時あいさつしたんだけど、ねこさんはこっち向かなかった。


や〜、おなかすいたな〜、ここで待ってるとエサくれる人が来るんだよな、ほら、も

〜来た、きょうははやいね〜、あり?なんだかちがう感じだね、なんにも手に持って

ないし、ただこっち見てやがるぞ、おい、エサくれんならはやくくれ、持ってないな

ら、あっち行け、ん〜、行かないね〜、エサもくれないし、ど〜ゆ〜こと?なんかよ

うでっか?こっちは、エサくれない人にはようないんだけど、変な人だね〜、ただぼ

くの顔見てるよ、なにがおもしろいんだかね〜、こっちはおなかすいちゃって、動く

のもめんどーだから、ここにじっとしてるだけなんだけど、もちろん、エサくれる人

待ってるのは言うまでもないんだけど、やだね〜、も〜、おなかすいてる上に、こん

なまぬけな顔をずっと見てるなんて、やめやめ、もー、あっち行こっと、もっとも、

あんまり遠く行っちゃうとエサ持って来た時わかんなくなっちゃうから、ちょっとだ

けだけど、よいしょ、っと、お、この草食えっかな、ん〜、今ひとつ。


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