12/13ののらねこ 文は田島薫
ねこはそばを喰うか
きょうも晴れのいい天気で、2週間ほど前にシャンさんが割ってしまって、
白い陶器が透明ガラスに代わった大皿はピカピカになめられていたけど、
新しく入れたエサにはなかなかお客さんが来ない。
このごろ代わったお客は全員シャイで、昼間やって来ることが少なく、
夜になってから、こっそり来て、朝に空の皿を見せてくれる。
そういうパターンならそれはそれでいいんだけども、お客さんを観察して、それを報告してなりわいを立てている(立ててない立ててない)私には、
それじゃ困るんですよー、だ。
先週遅番で出勤した時、昼前に出かけたシャンさんの行き先を聞いたクボセンセーが鶴巻(事務所の近所)と思い込んで、私にそう言ったので、いつも
のように、彼の分もあったかおつゆそばを作ったら、それが間違いだったので、
1人前そばが残ってしまった。
責任とって食えよ、と言ってもクボセンセーはいやだ、って言うし、私は
夕方そばやで友人と会う約束があり、じゃ、ねこさんにやろう、ってことに
して夕方ガラス皿に汁ごと出して帰った。
翌朝来てみると、(珍しくシャンさんは遅出でいなかった)、ほとんどその
ままの量が残っていて、一部が移動し、手前に喰い散らかした跡があった。
ちょっと引っぱり出して食べてみたけどまずくてやめたって図だ。
そんな贅沢はいかん、って思い、食べっこない、って言うシャンさんの主張を聞かずに、掃除はしたけど、その晩も皿はそのまま出しておいた。
翌朝来ると朝1のシャンさんによって皿はきれいに洗われて、ベランダの床に
も水がまかれ、そばは生ゴミ箱に捨てられていた。
確認すると、シャンさんはやっぱり後始末の苦労を訴えた。
こんなことしてるから、お客さん減っちゃうんだ、ってうわさもある。