5/26ののらねこ 文は田島薫
遅い出勤すると、また階段下の青いずんぐり自動車のボンネットの上につーとんが横になってくつろいでいた。
おー、とたがいにあいさつをかわしてから、階段を上ろうとした時、中年女性の
ペアが通りかかり、つーとんに話かけた。
あら、オジサン、いたの元気だったー、…って、オジサン?
のらねこはあっちこっちで色んな名前をつけられているのはしょうがないけど、
気が弱くて、愛想のいい、可愛いいつーとんに、オジサン、はないんじゃないか、
人はたいてい、自分のことを人が感じているよりも、若く見えると思っているようで、よくいい年したおやじが、あきらかに年下の女性に、オバサン、と呼んで
いるのを目撃するから、これは同様パターンの女性版か。
ふけて見られたい、という人もけっこういるのか知れないけど、やっぱり
男でも若く見られたい方が大勢だろうと感じる。ねこだってそうだ(?)。
ま、なにかのしゃれのつもりなんだろうか、だとしても、少し失礼すぎるんじゃないかっ(怒り)!という気がする。(それほどのことか)
ちなみに、私は親より年上の女性にも、おねえさん、と呼ぶことにしている。
しかし、よく考えてみると、つーとん、ひょっとして本当はまだらの親じゃなくて、おじさん、なのかも、そして、彼女たちはそれを知っていたのかも。
それなら、そんなに失礼じゃないな。(じゃ、さっきの怒りはどーすんだ)
後でまだらが遊びに来て帰り、しばらくすると、1階の物置きの屋根の上に、おじさんのつーとんとまだらが、くっついて、気持ちよさそうに寝ていた。