10/15ののらねこ         文は田島薫




きょうは朝から気持ちのよい秋晴れで、ドアの外にエサを出すと、

タイミングよく若白が来た。


のどかに彼の1日が始まったかのようだったが、すぐにエサに

行かないですわっている姿をよく見ると、体がヨイヨイヨイと

小さくゆれている。少し体調が悪いのかも知れない、

小皿にマタタビをちょっと入れて出してやろうとしていると、


階段を誰か上がって来る。ジーンズ上下の中年男だ、どうも

ずっとあいている隣の部屋を見に来たらしかった。


時々部屋を見に来る女性なんかもいるのだが、そのたびに

いつも大きく開けている通路越しの窓からチョットコワモテの

クボセンセイがランニング姿などで、顔を出したり、

ドアの外にのらねこがいたりで決まらないようなのだ。


でも今度は何となく決まるのではないかという気がした、


ねこを見たはずのジーンズ氏に動揺が見られなかったようだし、

若白がベランダの横にちょっと隠れただけで、その後逃げないで

けっこうくつろいでその場にいるし。


なにせきょうは気持ちのよい秋晴れなのだ。



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