3/22のねこさん       文は田島薫

パネがなんとなくこっちへ来る


ニケと違って、パネはあからさまにそばへすり寄って来ることはなくて、

私を見るとなんとなく、私の方へ歩いて来ることがあって、きのうの朝も

私が外へ出て、庭から道路の方へ歩いて行くと、坂のわきの空き地にいた

パネが出て来て、こっちへゆっくり歩いて来る。で、私と2メートルほど

間合いをとって立ち止るんで、近づこうとすると、ゆっくり逃げる。じゃ、

いいや、ってまた庭に私が戻ろうとすると、ゆっくりついてくる。今度は

私が立ち止ると、パネも立ち止る。私が今度はまた道路の方へ歩き出すと、

また間合いをとってついてくる。少し離れたままいっしょに坂を上がった

とこでパネが寝転がったんで、近づいてなでてやると、腹を出した。


あ、あの人が出て来たね〜、なんかおもしろいことでもあんのかな?ま、

ど〜でもい〜んだけど、ちょっと行って見てみっかな。そっちへ行くのは

ぼくの用があるからで、あんたんとこ行くわけじゃないんだよ、って感じ

で、おっと、あんたがこっち来るとぼくの用のじゃまだよ、って感じで、

あり?そっちへ行っちゃうの?あ、そ〜いえばぼくもそっちに用だったん

だ、って感じで。ありり?今度はまた元んとこ戻んの?実はぼくも元んと

こへ急用を思い出したんだ、って感じで。え〜と、ここでこ〜寝転がるの

が用だったんだ、つったりして。おっと、つかまっちゃったか〜


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