2/8のしゅちょう
            文は田島薫

(創造力の育て方、について 3)


前回、創造力を育てるには、たいていの人々のひとりである自分自身が知ら

ぬ間に子ども時代から受けて来た学校教育とか、ますますエスカレートする

マスメディアや、インターネットからの情報を受けるだけの生活で、世間の

風潮や常識にとらわれてる自分に気がつくことだ、って書いたんで、それの

少し具体的な例を考えてみたい。

だれでも自分が自分の頭で考えて、正しいことだ、って信じてることでも、

よく調べてみれば、いつも、事あるごとに、疑問を持って自分で考えるクセ

を持ってる一部の人間以外の者たちは、どっかで自分の属す仲間たちと共有

する価値観の情報を見聞きして鵜のみにしてるだけのことが多いのだ。

前回、企業の製品企画会議の場で、新しい発想の案に対して、そんなことは

不可能だ、ってすぐに言ってしまうこととかも、そう言ってる当人の意識で

は、たくさんの知識を持ってる自分が、そういった考えは初めて聞くことだ

から実現はありえないのだ、って言ってると同じで、初めて聞くんじゃない

ことだけを認めるんだ、って言うことになれば、いつになっても創造や進歩

は生まれないわけだし、それはけっきょく、自分の頭で考えたり可能性を想

像したりする能力は自分には、ない、って言ってると同じなのだ。

今朝だったかの新聞で、トランプ元大統領のフェイク情報を信じて米議会に

乱入して逮捕された男が、米国南部の黒人奴隷政策を容認した政治家の像の

撤去に反対したトランプの話をする時に、柔和な表情をして、南部の文化を

守ろうとしてることに共感してるのだ、って言って、黒人の立場については

なんとも同情してない自分をおかしいと気がついてないようだった。

これは彼が、人種差別はあたりまえだ、って風潮の環境の中で自分の頭では

なにも考えないまま大人になった、ってことを証明してるのだ。

安倍政権から菅政権へと受け継がれた、国防政策もそれで、危ない中国や北

朝鮮から国を守るために、集団的自衛権をはじめ、敵陣地攻撃能力のあるミ

サイル保有容認や、米国とだけじゃなくて英国の航空母艦にも近海に来ても

らおう、などと、平和憲法の精神からどんどん離れた件の敵視政策を当然の

ように思ってしまってるのも同じ例だ。

有能な政治家と思われたいなら、自分の頑迷な仲間たちの常識がすべてだと

思い込んで創造性のない無意味な恐れや戦争意識で軍拡競争やってるんじゃ

なく、相手や他国の立場や利害にも理解をしたり考えたりして新たな共栄共

存の企画提案に精を出すべきなのだ。


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