五彩の暗雲
またぞろオリンピックマフィアが蠢きだした。
今春新型コロナ蔓延のため一年間延期された東京オリンピックを2021年夏に開催す
るか否かを決めなければならない時がきたからだ。
IOCのコーツ副会長は「コロナがあろうとなかろうと東京五輪は来年7月23日に開幕
する」とぶちあげた。また、バッハ会長は「最優先すべきは参加者全員の安全」といい
ながらも「無観客は望まない」と言ってみたり、「来年の情勢がどうなっているかわか
らない。最終決定するには早すぎる」と蒟蒻問答をしかけてきている。蒟蒻問答をやら
せたら世界有数の実力をもつIOCである。日本ごときがかなうわけがない。
わが国のオリンピック屋さんは、とりあえず実績をつくることだ、と「五輪選手特例入
国許可」をぶちあげた。“入国を原則拒否している国、地域の選手らも出国前や入国時
の検査での陰性証明や感染防止対策を条件に特例で受け入れる。”出国前の検査という
が抗体検査ひとつとっても百種類ちかくあるなかで統制がとれるのであろうか。また、
“待機が必要な入国後14日間も行動管理やスマホのアプリ活用などにより感染防止策
をとれば練習や大会参加を認める”としたが、コロナウィルス接触確認アプリ「cocoa」
の現状をみるとおさむいかぎり。“行動管理では選手に活動計画書と誓約書の提出を要
請する”というが、誓約書をだしてまもるのは日本人とドイツ人くらい。個人主義あふ
れるラテン系の人がネオンの巷、「夜の街」をみてじっとしているわけがない。選手対
策もともかく、肝心な一般観客や受け入れ側の日本社会はどうしてくれるのだろう。ゴ
ートーなんとやらで、人の移動は安全だと宣伝しているがオリンピックで入ってくるウ
ィルスは国外のものである。また、クルーズ船をはじめとする第一波の惨状をくりかえ
せというのか。そうなったら大変な思いをするのは医療関係者だ。おどろいたことに、
東京五輪の競技会場などでの医療従事者に対し、活動報酬を原則的に支払わないそうだ。
この異常事態にボランティア強要とは、日本はいやな国になったものだ。
IOCは大会を縮小簡素化して開催するといっているが、オリンピックといえば全地球的
なお祭りである。その貴重なお祭りにしみったれたプログラムのもと伝染病感染をびく
びくしながら参加して楽しいものだろうか。
「あなたはそれでも楽しいですか?」と「なんとしても21年の開催を維持すべき」と
ぶちあげるオリンピックマフィア諸侯にうかがいたい。 |