シリーズ WITHコロナの日々 (3)
和菓子屋の嘆き
友人がふと、
「最近、コンビニの和菓子がおいしくなったわね」
という。
それを聞いて、私は幼馴染の和菓子屋のミエチャンの顔が浮かんだ。
ミエチャンがこれを聞いたら、きっと悲しむだろうな、と思ったのだ。
ミエチャンは病身の旦那を介護しながら、息子と二人で昔ながら和菓子屋を守っ
ている。
きれいに形づくられ色づけられた和菓子は、季節感溢れ、雛節句の桜餅、子供の
日の柏餅、夏の水ようかん、春と秋の牡丹餅など行事を彩り、日本人のお茶菓子
としても生活に密着していたのに、最近は生活の変化と共にその存在感は薄れて
いる。
スイーツと称して、次々と新しいお菓子が登場し、趣向も多様化して日常的に食
べられ、伝統の和菓子文化が廃れようとしているのだ。
さらに、コンビニの乱立で和菓子屋はピンチである。
同じ和菓子でも、コンビニと老舗和菓子のものとは製法も手間もまったく異なる
のに、違いがわかる人は少なくなっている。
そして追い打ちをかけたのは、今年のコロナ騒ぎである。
柏餅のあとは大手需要のお茶会も集会もすっかりなくなり、客はめっきり減った。
ミエチャンは、将来を悲観して廃業しようかと思ったという。
そのとき、持続化給付金の話を知った。半信半疑で試しに申請したら、なんと百
万円おりたという。
これで、もうしばらく続けようと思ったが、いつまで持つかわからないと、ミエ
チャンはため息をつく。
コロナは生き残れない業種を非情に選別していくようだ。 |