●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、世の中の変化を好奇心でながめてるようです。



シリーズ WITHコロナの日々 (1)

価値観が変わる


今日も一日家にひきこもっていた。

“ひきこもり”といえば、つい最近まで若者のひきこもりは問題視され、

社会問題のように言われていたっけ。

変われば変わるもの、コロナ禍の今は、“ひきこもり”は優等生なのだ。

思わずクスリと笑ってしまう。

電話での友人の話だが、行きつけの歯医者さんからハガキが届いて、コロ

ナ対策は万全なのでどうぞ定期検診にお越しください、との通知があった

という。

今、歯科、眼科、皮膚科などの不要不急の医療機関はがらがらで経営不振

なんだそうな。

いままでお高くとまっていた医者の方から診察の勧誘なんて前代未聞。

いつも病院の待合室っていっぱいだったのにね、と友人と笑いあった。

コロナ禍で変われば変わるものは、その他たくさんある。

新聞やテレビが報じる、リモートワーク、スポーツや音楽会、イベントの

無観客の興行等々。

さらに味気ないのはソーシャルディスタンスという名のもとに行われる人

との距離感。

人が集まって行事を行い、一緒に食べたり飲んだり喋ったりすることは、

人として必要不可欠であり、愉しみでもあったのに。

まったく、世の中どうなっちゃうんだろう。

果たして元の生活に戻るのか?

いやいや、そんなことにはならないだろう。

人は仕方ないとはいえ、生活を見直すはめになった結果、増え過ぎたもの、

行き過ぎたもの、過剰なものに気がつくはずだ。

今後生き延びるため、なにを捨て、何を残す?

よーく考えねばならぬ。

それを見届けるのが、今はすっかり意地悪ばあさん化した私の秘かな愉し

みなのだ。


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