●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの、コロナ自粛の日常。



シリーズ 一人暮らしになった(6)

コロナ騒ぎ


時は確実に流れていく。

春、桜が満開になり、木々の成長著しく生命力に満ちた季節になった頃、コロナが少し

づつ、やがて一気に広がった。

それは世界中を巻き込み、テレビに映しだされたあのニューヨークが、あのパリが、あ

のロンドンが、人影もなくまるで死の町であった。日本でも「三密」「ステイホーム」

「自粛」などのキーワードが飛び交い、外出や人との交流が制限された。

ちょうど、その頃私は亡き夫に関するさまざまな手続きが一段落して、そろそろ社会活

動を始めようとした矢先であった。

まさかこんな日がこようとは、私はただ驚き、気がついたらそのまま家に引きこもって

いて、誰とも口をきかなかった、という日があるのだった。

まさかこんなに不自由で不安な日々を送ることになるなんて…

マスクして外出、人に近づかない、という今までとは違った生活スタイル…

私はとまどい、だんだん気持ちが暗くなった


  長寿とはリスクなるかや五月闇


ただ、救われたのは趣味があり、友との通信による情報交換だった。

身辺雑記をメールでやり取りしたり、絵の仲間とは絵を描いた絵ハガキの交換をしたり、

友人と長電話でとりとめのない話をしたりする。

誰もが同じ環境で戦っていた。

なんとかコロナブルーにならぬよう、内向きにならぬよう気持ちを立て直すしかない。


  梅雨入りや何も解決されぬまま


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