2/3のねこさん 文は田島薫
さみしがりやのニケ 3
ねこさんたち、朝ごはん食うと、みんなどっか遊びに行くんだけど、ニケだ
けは家のそばをそんなに離れないで、すぐにベランダに上がって来る。他の
ねこさんたちも、気まぐれに上がって来ることが増えてるんだけど、テキト
ーにうろうろしてからテキトーに下へ下りるのに、ニケは上がって来ると、
ずっと家人や私を探しては目が合うと、ずっと目をはずさず、かまってくれ、
って言ってる。それでも相手してもらえない先日は下へ下りて行って、子ど
もたちが庭のまん中にねこちゃんの家だ、って言って枯れ枝をピラミッドみ
たいに組んだやつの中に座って遠くを見ている。
おーい、ぼくが来たよー、つってたんだけど、おばさんたちだれもぼくのそ
ばきて話しかけるとか体もむとか、したらい〜のに、な〜んにもしてくんな
いで、すぐそっぽ向いちゃうね〜、おっかし〜ね〜、ぼくのことが見えない
のかな〜、せっかくいっしょにたのし〜時間をすごそ〜と思ったのに、じゃ、
い〜や、だれかいないかな〜、みんなどっか行っちゃったよ〜だね、お、こ
いつはいつもの場所にいるね〜、じゃ、こいつのそばにいることにすっか〜。