●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、知らずに自身なりに悟ってたようです。
シリーズ 老いの賜物 その6
『一切なりゆき』を読んで
太極拳の仲間と本の回し読みをしているのだが、先日、樹木希林のベストセラー
『一切なりゆき』が回ってきた。
話し言葉を集めた本なので、簡単に読めたが内容は重い。
がんに侵されながら強く飄々と生きた彼女の強さは驚くばかりだ。
物事を俯瞰して見る…人間なんて「おもしろうてやがて哀しき」という存在…ガ
ンからは逃げもせずやっつけもせず…淡々と生きて淡々と死ぬ…等々
まるで悟りを開いた高僧のような格言や箴言のような言葉が散りばめられている。
今の私の心境に照らしながらなるほど、なるほどと教えられる。
でも果たして読んだからといって、すぐ真似できるものではない。
そうそう、そうだよね!と共感したり、そっか、こう考えればいいのか! とか、
そんな感想は持つのがせいぜいだ。
長年生きてくれば、やっぱり自分流というものがある。
この歳になって性格は変えられないし、きっといままで自分が生きてきたように
しか生きられないんじゃないかと思う。
あれこれ考え知恵を巡らせ、最良の道を探し出したとしても、現実はその通りに
はならないのだから。
なんだかこの頃、私は頑張って疲れるのは嫌になった。
『一切なりゆき』
別の意味で、すっかりこんな心境になってしまっている。