映画だ〜い好き 文は福原まゆみ
尾形映画プロデューサーの友人が仕切る映画制作会社で働く映画好き女史が
エッセーを連載してくれてます。
同じルーツの物語も違った料理で楽しめたり。
人形劇と映画の『三銃士』
前回三銃士の話を書いたが、昨日、チェコ大使館で開かれた人形劇を観に行った。フラ
ンス国王の銃士隊に入ろうと、ガスコーニュの田舎を出てパリに向かうダルタニャンの
冒険だ。途中で出会った三銃士と共に、王妃の危機を救うため大暴れするという話。滑
稽なほどのデフォルメ、素晴らしい設計の舞台。笑わせることを忘れないサービス精神
に満ちた、楽しい人形劇だった。劇団はチェコ国立人形劇団「アルファ劇場」。初来日
とのことだった。本拠地が人形劇の町として知られるピルゼン市。アニメーション作家
イジー・トルンカを輩出した町だ。ぜひ一度行ってみたい。、
私は1970年代に、実写版『三銃士』を見ている。あの頃は高校生で、元気のいい活劇、
特に男たちが集団で暴れる西部劇やアクション映画が大好きだったのを思い出す。今で
もその傾向は残っているか…。
必死に暴れる若造ダルタニャンに対し、どこかしら余裕をこいて闘うアトス、ポルトス、
アラミスの三銃士たち。カッコよかったなぁ。
この映画の面白いところは、何と言ってもキャスティングだろう。大スターたちを集め
ているものの、役柄が普段演じているイメージと逆になっている。浮気する王妃をジェ
ラルディン・チャップリンが演じ、純真な娘コンスタンスをラクウェル・ウェルチが演
じているが、迫力を考えると普通は逆だろう。『十戒』でモーセを演じ、アメリカの良
心などと言われていたチャールトン・ヘストンは悪役だし、マイケル・ヨークは、『ロ
ミオとジュリエット』でロミオの友人を殺す、憎たらしいイメージだった。こんなキャ
スティングもあるのかと、また一つ映画の面白さを学んだ一本だった。
因みに、ジェラルディン・チャップリンが最新版『ジュラシック・ワールド』に出てい
る。びっくり!
1973年/アメリカ・イギリス/109分
監督 リチャード・レスター
脚本 ジョージ・マクドナルド・フレイザー
原作 アレクサンドル・デュマ・ペール
音楽 ミシェル・ルグラン
撮影 デヴィッド・ワトキンス
出演 マイケル・ヨーク、オリヴァー・リード、フランク・フィンレー・リチャード・チェンバレン、
ジェラルディン・チャップリン、チャールトン・ヘストン、クリストファー・リー、
フェイ・ダナウェイ等々