サニーイズム 文と写真はさぬがゆたか
「世俗的」イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
サニーから、美術館で人気絵師のユニークな絵巻を鑑賞しての感想。
梅雨どきの美術館
「伊藤若冲展」若冲さんでイメージするのは,軍鶏や鶴に鮮やかな花木の見事なまでの
詳細な表現が思い浮かぶけれど,今日観た「菜蟲譜」は晩年と言ってもいいんだろうか
77歳の頃に友人の為にせっせと描いた長尺絵巻とも言われている。
今65歳の私が、やれ目が霞むからハヅキルーペだとか、腰が痛いとかほざいて
いるんだけど、77歳が本当だとしたら本当に驚く描写。
満足な明かりがあったのだろうか。その下で延々と同じような姿勢で筆を描き続けて
いたことを想う。
枯れ朽ちた葉っぱの裏側に広がる蟲や蝶への観察力と執着は愛情以外何ものでもない
細い筆の表現!
10mを超える細長い尺を,ほぼ間近でガラス越しに30センチの距離で200年前を想った。
栃木県佐野市郊外の小さな吉澤美術館、通常はレプリカを展示してるものの年に一度だけ
本物を展示する心意気が有難い510円だった。
それにしても,リアルを追求し切ったのちに描いた晩年は,なんともユニークな
デフォルメされた蛙や虫達になるのが興味深い。