2/13のねこさん 文は田島薫
むんの天下
最近私は、毎朝の体操を庭に出て山桃の木の前でやってて、たいていその頃陽が射し
てるそばの植え込みにむんがいるんだけど、きょうはいないんで、体操しながらあた
りを見回してたら、坂のわきの年末に取り壊した更地の向こうの陽の当る枯れ草の土
手にむんがいてゆっくり登って行くとこが見えたんで、よ、って手で合図送ったら、
ちらっとこっちを見た。
ちょっと目を離してしばらくするとまた見えなくなったんで、ランニングしながら、
ちょっと坂を上がってみると、もう更地の土の上まん中で足を投げ出して横になりた
っぷり陽を浴びた当人が見えたんで、よ、って手を上げてみると、ちょと足を上げた
ような上げないような。
いやいや、ここはお日さまいっぱいあたってて気持い〜よね〜、静かだし、小鳥さん
たちがたまになんか言いながら横切って行くのに向かって、こんにゃやろめー、って
言ってやったりして、も〜、ここはわたいだけが好きなように使っていい場所なんだ
よね、いやいや、まいった、さて、ここをひとまわりして上がって下りてまた上がっ
て、さて、ってあっち見てみると、あんにゃろが手ふってやがるね〜、しらないよ〜、
ほっとこ〜、さて、こっちをまわって、ここで日なたぼっこだ、お、ここなら、あん
にゃろめも見えなくて落ちつくね〜、いやいや、つってると、おいおい、あんにゃろ
めが坂上がって来てまた手ふってやがるね〜、うるさいね〜、足で、しっしっ。