思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、過酷な旅から帰還のようです、エピソードその11。





モロッコへいってきた

バスの窓から「アトラス八里は…」





モロッコは南西から北東にむかって、国土を二分するようにアトラス山脈がそびえ

ている。

西から小アトラス、高アトラス、中アトラスと呼ばれ、最高峰は高アトラスのトゥ

カブル山の4165メートルである。山脈の北側は砂漠の国にしては水も豊富で畑

や果樹園が豊かな緑をみせているが、南側は草木もまばらな土漠からサハラ砂漠に

つづいている。

サハラ砂漠をめざすわれわれもイフレンをあとにしてアトラス山脈を越えることに

なった。昔は山裾をまわる険しい道を歩いたのだが、いまは立派なアトラス越えの

道路がある。立派といっても日本の高速道路をイメージしたらおおまちがいで、山

肌をけずったところに二車線分を舗装しただけで、日本にあるスーパー林道と称す

る観光道路を想像してもらえばよい。

ところどころガードレールもない曲がりくねった道路は、スリルもあるが樹木がな

いので見通しがよく、雄大な景色を楽しむことができる。

このような山道を走っていてこまるのは、遅い車に追いついたときだ。このときも

はるか前方に見えたトラックに追いついてしまった。家畜の飼料にする藁束を満載

したトラックは、文字通り藁を満載しているので、乗用車なら簡単に追い越すこと

もできるが大型バスは道幅が足りず簡単に追い越せない。トラックもなんども道を

ゆずってくれようとするが、道幅がたりないので崖側の席は生きた心地がしなかっ

た。ヒヤヒヤしながらハンドルさばきをみまもること数分、ようやくトラックを追

い越した。15分ほど走ると目の前にさきほどと同じように藁を満載したトラック

が横転していた。そこはもう平地になっていたので全員が安堵の胸をなでおろした

のはもちろんである。


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