●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの俳句教室、お題の悩みもあるようです。
Shall we 俳句? その 3
感性の違い
8月の句会のお題は“萩”だった。
萩は、山道や草むらによくみられる秋の山野草である。
小さな細かい花が散るさまは“こぼれる”という表現がぴったりで、たおやかな風情
たっぷりの花だ。
秋を感じるにはもってこいの季語なので秀作が集まるかと思ったのだが、最近では住
宅街はもとより公園でもあまりお目にかからないので、皆敬遠したのか、読み込んだ
作品は少なかった。
萩の道源氏の君と会いそうな
など。
そして、次回9月のお題が“水引草”に決まった。
満場一致かと思いきや、主催者の本屋の主人が、
「花が続きますなあ。男っていうのはねえ、花は苦手でしてね。思い入れも薄くイメ
ージがわかないもんなんですよねえ・・・ハア〜」
と頭を抱えてため息をついた。
私はハッと思い出した。
そういえば、このことと同じような話を絵の先生から聞いたことがあったのだ。
「どうも女性にとって花は得意な分野らしいですね。花を題材にすると女性は嬉々と
して描く。そして無意識に花の本質をつかんで描いたり、自由奔放な表現ができたり
することがある。それは女性の方が花の美しさに敏感だからでしょうか。ところが総
じて男は花の美しさに対する感受性が鈍いらしい。だから構えてしまい、ただ忠実に
花を写し取ろうとしたり、理屈で描こうとしたりして、失敗することが多いのです。
その代り、建物を描かせると男の方が巧い傾向があるんですよね」
おもしろい意見である。
男女差別はないけれど、男女の趣向の違いはあるのかも・・・
さて、この句会では女性上位なので、本屋の店主のぼやきにもかかわらず、結局次
のお題は“水引草”に決まってしまった。