9/11のねこさん       文は田島薫

むんが、よ、って


むんはごはん食った後、わが家のまわりの好きな場所選んじゃ寝転がってることが多い

んだけど、2階の窓からそれをながめるとたいていすぐに気がついてこっちを見たまま

ずっと視線をはずさない。きのうの朝ベランダにふとんを干そうとしてたら家の裏の縁

にむんが寝転がってて目が合った。私が、よ、って手を上げてあいさつすると、それを

じっと見てて、それの2〜3度めかに、むんの方も、よ、って、後ろ足を上げた。しば

らくその不自然なかっこのままにしていて、はっと気がついたように耳の後ろをそれで

けんけん、ってけった。


ごはんの後昼寝しようとすっと、なんだかいつもだれかが上から見下ろすもんで、それ

が気んなってちょっと落ち着かないんだよね、だからも〜、きょうはこっちの方で寝る

ことにしよ〜、つってくつろいでる、ってーと、ほらほら、またあんにゃろめがこっち

見てやがる、手上げて、おはよ〜、ってか、うるさいね〜、はやく引っ込んだ引っ込ん

だ、引っ込まないね〜、しょーがない、じゃ、っこっちもちょっとつきあってやっか、

も〜、足でやっちゃおー、よ、って、どだ、気がすんだか、さて、これであんまし図に

のせちゃうといけないから、こ〜、あいさつだと思わせておいて、ちがうんだよー、だ、

耳の後ろがかいかっただけなんだよー、だ。


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