●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん俳句教室の参加で、発見もあったようです。
Shall we 俳句? その 2
私は、テレビの芸能人がつくった俳句をランク付けして先生が批評する「プレハト」と
いう番組が好きでよく見ている。
できた俳句が言葉をちょっと入れ替えるだけで雰囲気がガラリと変わったり、あの短い
文字数であれだけの意味を込められるなんてすごいし、なんてたって先生の胸のすくよ
うなコメントが面白いのだ。
それですっかりそのテレビの影響も受けて、私はホイホイと誘われるままに俳句教室に
入ってしまった。
ところがここは教室というよりも句会形式だった。
まず、各人は宿題で決められたお題(季語を示す言葉)に添った句を交えて3句つくっ
てくる。それらすべてを教室で書き並べ、その中から各自最も良いと思う句(自分の句
は除く)を3句選ぶ。
何のことはない、秀句を人気投票できめるのである。
さらに各俳句を生徒がああでもない、こうでもないといった解釈を言い合う。
ある人が次のような作品を出した
しおり戸で匂う卯の花誰を待つ
すると、誰かが
「なんだか色っぽい句だなあ。二号さんが庭に佇んで旦那を待っているという情景だな
あ…」
というと、一世代若い女性が、
「えっ、晩御飯のおかずを作って奥さんが夫の帰りを待ってるんじゃないんですか?
卯の花っておから料理でしょう?」
これには皆大笑い。
「卯の花は、ウツギの花のこと。ほら、我々世代はすぐ♪ウーノハナノ ニオウカキネ
ニ〜っていう小学唱歌がすぐ浮かぶけどね」
と、誰かが歌ってみせる。
でも卯の花がおからになるのも無理はない。
私だってなんとか歌は知っているけれど、実際卯の花の垣根のある家など見たこともな
いし、それにしおり戸とか二号さんとかいう言葉が飛びかって、一つ時代がずれたよう
でピンとこない。
実感で詠んだ句とイメージで詠んだ句の差は大きい。
そういえば、俳句の世界はとても固定観念が多いと気がついた。