モロッコへいってきた
バスの窓から「Plan Maroc Vert」
モロッコに、Plan Maroc Vertという政策がある。
もともとモロッコはアフリカ有数の森林保有国であったが、長年にわたる無計画な
伐採で山の保水性が失われ、平地では遊牧民の放牧により草原が失われたうえ、気
候の変動も手伝って国土の砂漠化が進んでいる。Plan Maroc Vertは、国土の砂漠化
を防ぐために砂漠に緑のベルトをつくり、農地を増やし、地球温暖化防止にもつな
げようという一石二鳥的な国土緑化計画のことである。
窓の外には、走っても、走っても土漠がひろがる。時速60キロで走っても一時間
は続いただろうか。
このあたりの土地は、地表の石ころをどけると肥沃な土地があらわれる。片づけた
石で石垣を造るとこれが境界線になる。うそのような話だが、ここでは好きなだけ
開墾して石を積み、自分の土地境界をきめて畑か果樹園にするとその土地を国家か
らもらえる。そのうえ、数字はうろ覚えだが、たしか5ヘクタール以上を開墾する
と灌漑用水を引いてもらえ、水代だけを払えばよいという制度になっている。これ
は貧困農家の救済と遊牧民を定着させて放牧による緑地の減少をくい止めるための
国家プロジェクトである。話しを聞くとバラ色の政策であるようだが、個人で耕せ
る土地は2ヘクタールが限度であり、耕作地がふえると人手が必要になり子供の就
学率が落ちるという問題がある。この問題を解決するには農作業の機械化がのぞま
れるがモロッコではまだまだ先のことになりそうだ。 |