思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、過酷な旅から帰還のようです、エピソードその4。





モロッコへいってきた

前も下も気をつけて





観光客に災難も起きるメディナの迷路


歴史のある都市は、どこでも旧市街と新市街がある。

モロッコでは旧市街をメディナとよぶ。メディナは高い土レンガか石の塀でかこまれ、

中は迷路になっていて大通りというものはない。いずれも外敵の侵入から街をふせぐた

めで、メディナの規模にもよるが三つか四つの門を入るとすぐに狭い迷路がはじまる。

中心部にはイスラムの神学校、モスク、キャラバンサライとよばれる隊商宿や浴場があ

り、それを取り囲むようにスークとよばれる商店街と住宅がある。道幅は広い所で3m。

せまい所は50cmで1.5mくらいのものがいちばん多いだろうか。


迷路を物珍しげにキョロキョロしながら歩いていると急にロバがあらわれてびっくりす

ることがある。

メディナは道もせまく曲がり角もおおいので車がつかえない。ラクダはおろか馬でも大

きすぎるので、いまでもロバで物をはこんでいる。乗っているオジサンはわれわれのこ

となど眼中にないように速度をゆるめない。こちらにしてみれば観光地なのだから気を

使ってくれてもよさそうなものにと思うが、オジサンは「勝手にオレの街に入ってきて

ジャマだ」とでもいいたげに走り去っていく。ここでは日本のようにオリンピックがく

るから“おもてなし”なんて小賢しいことは考えないようだ。

ロバが通りすぎたあと悲鳴がおこった。このスリルにみちたすれ違いにあっけにとられ

ていて足元に気を配らないと大変なものを踏んづけることになる。


戻る