6/19のねこさん       文は田島薫

ねこさんが木に登った


グレともう同じ以上大きくなったその子どものムンやバットは前後してわが家にやって

来て、出されたごはんを食うんだけど、さほど腹ぺこ、って言う感じじゃない。ごはん

見せて食うか?って聞いても、あいまいに鳴いたり、だまってたりで。で、グレ以外、

ひとりで食ってる時そば行くと、さっと逃げてしまうし、ウスチャのパネなんかは、い

つもうんと離れたとこにいてわれわれがちょっと動くの見ただけで逃げる。

きのうの夕方、2階の居間の窓から外見た家人が騒いで、洗面所にいた私を呼ぶんで、

行ってみると、わが家のでかい山桃の木の太い枝の上霧雨にパネが立っている。

今下りてきちゃったとこだけど、2階の高さの2つ上の枝にいた、って。


いやいや、静かだね〜、やっぱ、ひとりがい〜ね、ワイワイさわがし〜のはいけないや、

みんなみたいに、ここんちの人にごはんくれごはんくれ、って言う感じはぼかー、やな

んだよね、あっちのおばさんとこで食ったらもーいーじゃねーの、あちこちで食うから、

みんな太っちゃって、ほら、ぼくみたいに、こーやってさささ、って木〜登ったりでき

なくなっちゃうじゃん、ってーの、ほらほら、どんどん上がっちゃうよ、きしょー。

お、けっこー高いとこまで上がっちゃったねー、雨も降ってたのか、雨が降ってて、木

の上の高いとこにいる、ってのも、いーよーなわりーよーな、気持いーよーな落ち着か

ないよーな、落ちたらやばいよーな…、さて、もー、下りっか。


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