思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、過酷な旅から帰還のようです、エピソードその23。





モロッコへいってきた

バスの窓から「きょうもマラケシュ その2」





夕べは遠く見えたクトゥビア塔は広場から近い。5分とかからずにフナ広場についてしまった。

露店もまばらで夜のにぎわいはどこにもない。昨夜とうってかわって健全?な露店がならぶなか

にひとつだけ蛇つかいがいたので、きちんとチップをわたして写真をとらせてもらった。閑散と

した広場には現地の人の姿もまばらで家族連れの観光客がめだつ。昨夜「ここで待っているよう

に」といわれたカフェも客がすくなく、ひょうしぬけした気分で広場を通りぬけ、スークの一角

にあるレストランで昼食をすませた。この店は夜になるとレストランバーになるので、ほかには

なかっためずらしいビールを飲んだのが唯一の収穫であった、というくらい不作な昼間のフナ広

場であった。

食事をすませ、バスに乗ってきのうタバコをさがしに苦労して歩いたスーパーにむかう。車だと

あっというまに着いてしまう。きのう下見をしたのですこしでかい面をしてさっさと売り場にむ

かった。巨大な売り場は現地の人でごったがえしている。ラマダンの最中とはいえ、夜と早朝に

はふつうに食事をするので、買い物はひつようだ。商品のあらかたは輸入品なので、ここではモ

ロッコ産のものだけしか買わないことにした。生ものは買えないのでチョコレートとオリーブの

塩漬けを買ったくらいだ。

Hさんから「いちど荷物をおきにホテルにもどって40分ほど休憩します。歩いてホテルに帰る

方はご自由にどうぞ」といわれたが、歩くなんてまっぴらごめんとバスに乗ってホテルにもどり

休憩をとった。


出発時間になったのでロビーへいくと、タバコ仲間のIさんが焼酎の1リットルボトルをさし出

して「シャンさん飲んでくれない」という。わけをきくとイスラムは酒が手に入らないと聞いた

ので、日本から酒をたくさん持って来たけど飲みきれないという。まえほど酒が飲めなくなって

きたし、あと一晩しかないので丁重におことわりした。

バスは10分ほど走ってメディナの入り口に着いた。ゴミゴミした商店街をぬけて昨夜のカフェ

のまえに出た。Hさんが「これから1時間フリータイムにします。スークへ行ってお買い物を楽

しんできてください。時間になったらこのカフェの屋上に集合してください」と言った。このフ

リータイムは聞いていなかったので天にものぼる気持ちになった。地図をひろげて1時間で歩け

る範囲をきめた。ご一行様は、テバちゃんと仲良くなった、一人で来ている女性Yさんとの3人

連れ。Yさんは家に旦那と子どもたちをおいてきている。旅慣れているけどどこかのんびりとし

た人だ。総延長で1キロにも満たないのでゆっくりと見物や買い物に時間を割けるはずだ。とこ

ろが広場を離れスークに入ったとたんに道に迷ってしまった。曲がり角の目印のレストランはた

しかにあったが曲がるはずの道が見つからない。地図というものはなにもない平面に道が書いて

ある。お祭りの屋台が百も二百も集まったようなところでは役にたたない。さっそく身近にいた

人に道を聞いたがわからないという。なかにはあなたが歩きたいコースだと一日かかるという人

もいる。そんなはずはないと3,4回は聞いただろうか。その間にYさんはスマホで検索するが

わからない。

スークという迷路のようなところは土地の人にしかわからない。店先にたむろしていたお兄ちゃ

んに聞くとさいわい英語をしゃべる。われわれより英語に堪能なYさんをまじえて聞くと親切に

教えてくれた。おなじところに出るのだが道を一本まちがえていた。そのうちに逆回りをしてき

た仲間にであったので道をたしかめるとまちがいはなかった。それから安心して店をひやかしは

じめた。Yさんがヘナのお守りがほしいというので店に入った。なかなか手ごわい親父さんで値

切るのに手間がかかった。どうせ値切るなら手間はおなじと自分でもいくつかヘナのお守りを買

うことにした。メモをとっているとボールペンを見つけた親父さんがキーホルダー3個と交換し

ろと言いだした。しめたとばかりに買ったヘナをもっと値切り、キーホルダーも4個ぶんどった。

それほど安物のボールペンではなかったので心はいたまない。広場も近くなったところにあった

照明器具屋でテバちゃんがイスラム模様の真鍮細工のカバーがかかった卓上スタンドをみつけた。

どうしてもほしいというので中に入り商談成立となったら金が足りないから貸せと言う。なんだ

かだまし討ちにあったようだがいまさらいらないとは言えないので貸してやった。

それぞれがご機嫌よく集合場所の屋上にあがると先にもどった人たちがミントティーを飲んでい

る。さっそく注文をすませ屋上からのながめをカメラにおさめた。旅行会社のパンフレットでお

なじみのすばらしい夜景が撮れないのが残念だったがしかたがない。


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