10/16のねこさん 文は田島薫
待ってる黒とら 2
季節のわりに少し肌寒くて小雨まで降ってるきのうの午後、家人と傘さして駅の方へ
出かけた途中のねこよこちょう入口角の家。こんな日にねこさんたちはいないだろう
な、って思いながら庭をのぞいてみたら、軒があるんでさほど濡れないのかも、テラ
ス手前の縁台の上の奥に黒とらがあっち向きに背中を丸めて少し疲れたような風情で
座ってるのが見えた。われわれは、あれ、いるぞ、とかなんとかって言ってちょっと
笑ったりしてから立ち去った。
なんだか急にさみ〜くなっちゃったね〜、ここの台の上もあんまり居心地よくもない
んだけど、ここじゃないと、兄貴が出て来た時気がつかない、ってことになっちゃう
もんで、がんばんないといけないんだよね。雨も降って来ちゃってるし、こ〜やって
兄貴が出てくんのをず〜と待ってる、ってのもあんまし、楽じゃないね〜、だいたい、
兄貴はいつんなったら出てくる、つんだ、こっちはず〜っと前から待ってんだ、さっ
さと出てこいやーばーろー、なんちゃって、も〜きょうは出てこないのかな、さみ〜
し、雨だし、あと2時間ぐらい待って出てこなかったら帰ろ〜かな。