1/30の日記          文は田島薫

仕事後の長い散歩


先週の火曜の朝、わが家の火災保険更新のため、保険会社の女性社員が来たんだけど、

初めてなので、道に迷ったらしく、1本手前の坂の上の道から電話があり、そこへ私

がサンダルでかけつけ、正しい道を教え、1本まわって向こうの道の角をこっちへ曲

って来るはずの車が見えたんで安心したら、そのまま通過して見えなくなった。また

そっちへサンダルでかけつけ、向こうの方で下りてきょろきょろしてる当人をまた家

まで誘導してなんとか到着、山小屋風のわが家を当人がすごく誉めた。

今まで10年以上担当していた男性社員はまだ40才ほどなのに、9年ぐらい闘病しなが

ら仕事をしててとうとう力つき1〜2年前に亡くなり引き継いだようだった。

前担当者の誠実で仕事熱心な人柄には私も好感を持ってたし、同年齢だと言う新担当

者も深く悲しんでるらしく、あいさつの始めに私がそのことを言うと、思い出の写真

の簡単なアルバムを見せてエピソードなどを語った。

それ以後、先週いっぱい友人の建築会社のホームページの全体のバランスやサイズ調

整をけっこうみっちりとやり、最終微調整も友人の納得を得るまで仕上げた。

仕事に打ち込んで完了した時の充実感は悪くないんだけど、パソコンでやるその作業

は時間を驚くほど早く消費してしまい、なんだか、少し空しい気分も起きるもんで、

仕事量はほどほどで、ゆっくり自分のペースでやれるのがいつも理想に感じていて、

今の私の立場ではほぼ理想的なんだけど、やっぱり、仕事、ってもんはいつも神経を

使うもんではあるわけで、私のようにのんきなこと言ってる場合じゃない、子供や親

を養う必要がある労働者たちの毎日は大変だろう。

すっかり仕事三昧だった後の日曜日、天気は上々、さほど寒くもないし、家人からの

外へ歩きに行こう、って提案に賛成し、家から東西南北歩き倒しシリーズ、東編、っ

てことで、ビールやつまみを持って昼下がり東に向かった。

最寄り駅そばのいつも自転車でぬけるガードをぬけ、そのまま東へ、そっち方面は昔

雑木林や田園が広がる起伏に富んだ気持のいい里山でハイキングにもぴったりの感じ

だったのが、今やほとんどが宅地化してしまっていたんだけど、ところどころに林の

名残りや曲がりくねった坂道などもあって思ってたよりいい気分。

途中コンビニでコロッケ買ったりトイレ借りたりしながら、大きな家や小さな家、し

ゃれた新しい家や安普請の古い家や同じような新しい家のならぶわきや林のわきをぬ

けたり見晴しのいい場所に出たり、上がったり下がったりして、時間的にも、雰囲気

的にもここで終着でいっか、って、住宅街と林にはさまれちょっと広い盆地状になっ

た全体が公園のように整備されたちょっと広い石畳の石の上にふたりで座り、林の向

こうの黄昏れの空ながめながらチーズやコロッケを食いビールや水を飲んだ。


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