とかくこの世は…
智にはたらいたわけでもないし、情にながされたわけでもない。まして意地を通したこ
ともない。それなのに住みにくい世になった。
ここ2週間台風漬けである。関東地方は台風の直撃をうけたわけではないが、台風のも
ってくる厚い雲と湿気に悩まされている。低くたれこめた雲と身にまといつく湿気にか
こまれていると閉塞感がつよくなる。それから逃げるためになるべく開けたところに行
こうと思うのだが雨続きでそれもままならない。
からっとした秋晴れになるまでは狭い部屋にとじこめられて倦怠の日々を過ごすほかは
ない。
ニューヨークで爆発があった。当局はアフガニスタン出身の男を容疑者として捕まえた。
またイスラムいじめが始まるのかと思うと一抹の不安を感じる。アメリカという国は冤
罪をつくるのが得意である。この男を容疑者とするにあたって先入観がなかったのだろ
うか。先入観と冤罪の典型的なものはイラク攻撃である。イラクにかぎらずアメリカは
自国の正義に反するという理由で容疑者を作り上げいくつかの国を滅ぼしてきた。ニュ
ーヨークの事件が悪い方にいかないといいのだが。
豊洲の市場移転現場で珍妙なことがおきている。実は珍妙でもなんでもなく日本の政治
の典型的な姿である。なぜこうなってしまうかというと官僚まかせだからだ。
昔、日本は政治家がダメでも官僚が優秀だから心配がないといわれたことがある。この
ことはいまも変わらない。なぜ変わらないのかというと政治家が不勉強だからだ。日本
は伝統的に官僚国家である。これは徳川時代からすくなくとも300年の伝統がある。
かたや議会民主制なんていうものは明治以降せいぜい100年の歴史しかない。300
年の蓄積に100年の駆け出しが勝とうというのだから政治家はよほど勉強しないとか
なうわけがない。
伝染病予防の薬でジンマシンを起こして次の視察地をパスするような防衛大臣。これが
もし戦争だったらどうするのか。自分の薬にたいする知識をもっていない大臣は危機管
理ゼロといわねばならない。このように能天気な大臣を指名したのも政治家だ。また、
水害地視察で靴が濡れるからとオンブをしてもらうような政治家がいるうちは、役人天
国は変わらない。
台風はともかく、こんな世情に生きていなければならないと思うと、兎角この世は住み
づらい。 |