占い
朝刊を開くと真っ先に星占い欄を見る。信じているかというとそうでもなく、新聞を読
み終えるころにはきれいに忘れている。
それでも1日の始まりの楽しみとして見てしまう。同じ星座の人は世の中にたくさんい
るのにその人たちすべてが今日の運命が同じなんてありえない、と思っていても、やは
りなんとなく気になるのが占いなのだ。
ある日の私の星座には『安定志向強し。臆病すぎて幸運を逃さぬよう注意』とあった。
(そうだよなあ、このところ心が委縮して臆病だもんなあ。これではいけないのだ)な
んて反省したものだった。
抽象的な記述を自分だけに当てはまると思い込む心理が働く。つまりなんとかせねばと
思っている自分の内面や未来のことを知りたいという何かが「当たる」ように都合よく
記述を引き寄せて読み込んでいるのだ。
絶対的な何かに従う安心感に魅せられて世の中には占い好きが結構いるものだ。
父が家相に凝っていたようだった。
戦後まもなく疎開先から東京に戻り商売を再開するため土地を買った。いざ家を建てる
段になって方角を見て貰ったら、「角地は良くない、そこに建てると商売が傾く」と占
い師に言われたそうだ。工場なのでせっかく開けた角地を買ったのに、占いどおりにし
て隣りに建てることになった。
だが、その占いは当たらなかった。その証拠にせっかく角地を外したのに後になって、
我が家は倒産したのだから。
もう一人、占いに凝っていた人に夫の一番上の姉がいた。
私が40代のとき十二指腸潰瘍になり、義姉がとても心配して自分の勤めていた病院に
すぐ入院させてくれた。お蔭で一週間で回復したのだが、退院するとすぐ占い師のとこ
ろに連れていかれた。
腰の曲がったおばあさん占い師は字に書いてある積み木のような木片を操って「仕事と
家庭の両立に悩んでいますね。ストレスが溜まっています。家に仏壇があるなら毎日の
お参りを欠かさないように」と言った。
病気は大事にしなかったご先祖の祟り? まさか!
婚家先の仏壇の手入れを怠けていたのがバレてしまい、身の縮む思いだった。 |