4/11のねこさん       文は田島薫



見張んない


夏のように暑くなった先週の土曜の午後、家人と自転車で食料の買い出しに行く途中の

ねこよこちょう入口角の家。庭にはねこさんの姿は見えないんで、あ〜、暑いからな〜、

って行き過ぎようとしたら、家の裏側の日陰、狭いすき間のなんかの台の上に黒とらが

こっち向いて寝そべっていた。ねこさん、この前と同じに、こっちが、よ、って手上げ

てあいさつしても、じっとこっち見てるだけ。しばらくおたがいをながめあってから、

じゃ、って言ってわれわれはペダルを踏んだ。


いやいや、あちーのなんのって、きょうはまいったね〜、いつものあっちの台の上で昼

寝しよ〜かな、ってさいしょ思ったんだけど、きょうはあちくてむりむり、それに、こ

ないだみたいに、あにきに、ずっと外見張ってなくちゃだめだ、なんて言われてその通

りやってたら死んじゃうからな〜、きょうはこっちこっち、ここがい〜ね〜、すずし〜

し、あにきも来ない。しかし、あにきのともだちが帰ってくるかもしんない、って言わ

れてたから、いちお〜、ついでにちょっとだけ外見てやっかな、ん〜ん、やっぱり、あ

ほ2人組しか来ないな、こっちは相手にすんな、ってあにきに言われてんだよな。


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