思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、やっぱり本職の矜持は譲れません。





初雪や…




11月24日、東京都心で初雪が観測された。

24日よりも早い初雪は、気象統計がはじまった明治9年と明治33年の11月11日で、

西暦でいえば前世紀どころか前々世紀のことである。11月に降る初雪は、昭和37年以

来54年ぶりとのことで、明治どころか昭和も遠くなったものだ。

この昭和37年は、日米安全保障条約の改定を強行採決したのち総辞職した岸内閣のあと

を継いだ、所得倍増を旗印にした池田内閣の時代である。あれほど日米安全保障条約の改

定に反対した国民も簡単にころんでしまった。ころんだといってもこの雪でころんだわけ

ではない。所得倍増という札束でひっぱたかれてころんだのである。


雪景色をみると写真を撮りたくなる。毎年かわり映えのしない写真なのだが、やはり写し

たくなる。

朝から降りはじめた雪は昼ごろには黄葉とともに、例年にない雪景色をくりひろげていた。

いつもは雪を流して撮っていたが、今年は紅葉をバックに雪を白い点に止めてみることに

した。写った写真はまずまずの出来であった。ところが夕刊を見ると、まったくおなじ意

図で黄葉をバックに雪が白い点に止まっている写真が一面に大きく出ていた。

くらべてみると新聞の写真の方が格段に良い。あたりまえである。ぬくぬくと暖まりなが

らベランダから写した写真と、よいアングルをもとめて、寒い思いをしながら歩きまわっ

て写した写真とくらべるほうが無礼というものだ。

ココ通にちょうどよいと思って写した写真だが、ダメなものはダメとあえなくボツ!

しかたがないので、いつもどおりの、へんてつもない写真を使うことにした。


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