●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、目と手を動かしながら色んな思いが頭の中巡ってます。



時を忘れる作業


長いブランクがあったり、やったりやらなかったりと細切れなのだけど、絵との付き合い

はだいぶ長い。そしてその間3人の先生に習った。

ある先生は“構図が大切”といい、ある先生は“よく観察したら、あとは自分の描きたい

ように描け”といい、またある先生は“絵の中にドラマをつくれ”と言っていた。

どの教えもなるほど、と思うのだが、基礎ができていないのでイメージに技術が追いつか

ずいつまでたっても自分の思うような絵は描けない。ただ描いているその時間が楽しいか

ら続いているようなものだ。

今、6月にあるグループ展用に絵を描いている。

ああでもない、こうでもないと思いながら描いているとたちまち時間が過ぎていく。こん

な時間が持てるのは幸せだな、と思う。

行き詰ると先生の教えを思い出すのだけれど、いつのまにか、目の前にあるモチーフを忠

実に写し取る作業になっている。やっぱり私は職人にはなれるかもしれないが芸術家には

なれそうもない。

まっ、いいか。好きなことをやっているのだから。

ある高名な芸術家が言っていた。常識に従っていては芸術は生まれません、って。天才と

はどこか常識を突き抜けているところがあるのだろう。


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