思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー、ゆったりと恒例の祭り見物に出かけました。



やられた!





きのうは神田祭。

今年は、遷座400年にあたる。

神田明神こと神田神社は大手町にあった。それが江戸城拡張のとき、城の表鬼門を守るため

に現在地に移された。神社では「御遷座400年神田祭」と、正月から大宣伝をしていた。


9日におこなわれた神幸祭とうってかわって雲ひとつない快晴となれば出かけないわけには

いかない。

もう何十回と行っているのでいまさら神輿をおっかけることもない。それに足もあやしいの

で、むりをしないでのんびりと歩くことにした。御茶ノ水から神社のまえを通り、秋葉原へ

ぬけるという一本道のコースだ。秋葉原の中央通はおみこし広場と化している。

無欲で出かけるということはいいことがある。ここで市場の神輿に出会った。これ昔秋葉原

にやっちゃ場があったときからの神輿で神田祭最大の神輿である。この神輿が動いていると

ころを見るにはこまかく時間をしらべていくか、よほど運がよくなければならない。それが

目の前を通って行く。これも無欲のご利益か。


御茶ノ水に着いてからまだ一時間くらい。時間があまってしまったので古巣の電気街をのぞ

き、その先にある古カメラ屋にいくことにした。

万世橋を通りかかるとクレーン車がきていた。あっ船渡御があるんだ、と二重の幸運に喜び、

待つこと20分。神田川上には船の「ふ」の字もみえない。そろそろ帰ろうかなと思ってい

たらとなりにいたオバちゃんに話しかけられた。デジカメをもったオバちゃんは、駄菓子屋

のおかみさんが似合いそうな60年配の風采のあがらないどこにでもいそうなオバちゃんだ。

土地の人らしく祭りの昔話をしたので退屈をしないですんだが、また30分は過ぎただろう

か。見物の人並みはふえるいっぽう。そのなかに外国人観光客もいて、やたらにまわりの人

になにごとだと聞いている。われわれのそばにも3〜4人の外人がきた。これはまずいこと

になった。聞かれたらなんと答えようと頭の中で構文をひねくりまわしていたら白人の若い

女性がとなりのオバちゃんに声をかけた。

するとオバちゃんすこしもさわがず…

「Portable shrine  on the boat  come soon now」

たどたどしくはあったが、それを聞いた外人さん「Thank you」とニッコリわらってしっかり

と見届けていった。

やられた!


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