思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセー夫婦、移動して食べて泊まって観て怒鳴って食べてから飛びました。



ボンジョルノ・イタリア(11)ヴェネツィアそしてミラノ




足取りも軽くホテルに戻った。お大師さまはつかれたので休憩。時間があるので、一人で出かけることに

した。さっそく昨夜迷った道をリベンジのためたどった。じつに簡単、昼間なら迷わなかっただろう。

ほかに教会ひとつとサンンマルコ広場へ行く道も2本発見した。そのまま広場に出てサンマルコ運河沿い

を散歩。日差しがつよくて暑い。ジェラートをなめながら歩く。途中、韓国人の集団結婚式に出会った。

はじめ統一教会の連中かと思ったら韓国ではこういうツアーがあるそうだ。

出発の時間も近いのでホテルに戻る。定時にホテルを出発して、水上タクシーでバス乗り場のあるリドへ

向かう。なんども振り返って見るリアルト橋ともおわかれだ。

2時半ミラノへ向かってバスは出発する。車窓には白ワイン用のブドウ畑が延々と続く。ヴェローナの流

通センターの中にある店でトイレ休憩。この店は、ワイン、チーズ、オリーブの漬物、香辛料と土地の産

物専門店でふつうのみやげ物はあまり売っていない。ワインの試飲をして、オリーブの漬物を買って、ト

イレに行って、タバコを吸っておしまい。

出発すると雨が降ってきた。窓外は畑から工場や高層アパートが並ぶ景色にかわってきた。都市が近い。

6時、雨のミラノ市街に入る。ここは経済都市でトラム、地下鉄、高架鉄道となんでもそろっている。市

内は2015年に開かれる食品万博のためにあちこちで工事中だ。そのままレストランに向かって、名物ミラ

ノカツの夕食。ワイン畑を見てきたのでハウスワインをたのむ。さっぱりとした味でおいしかった。

今夜のホテル、シェラトン・ミラノセンターホテルに着く。このホテルはビジネス街のまん中にあるので

眺めはよくない。おまけに雨なので街の様子もいまひとつわからない。ロビーでカードをもらって部屋へ。

また、事件がおこった。なんどカードキーを入れても鍵が開かない。さてこまった。ローマの二の舞かと

思いながら、カードを裏返しに入れてみた。開きましたよ、ドアが。

今回の旅行ではじめての、そなえつけのコーヒーを入れてひと休み。こちらでは日本のホテルのように部

屋に入ったらお茶というわけにはいかない。お大師さまが風呂から出てきて、シャワーノブがうまく動か

ずカランで頭を洗ったとか。あとでシャワーを浴びたらちゃんと動いた。レバーの動かし方がわるいのだ。

本人は冷えちゃったと文句たらたら…。

今日はビールを買えなかったので冷蔵庫のビール一缶をのむ。もっともビールは一缶しか入っていない。

それと二日間もち歩いたローマみやげのオレンジをかたづける。お大師さまが寝てしまったのでしばらく

一人でテレビを見ていたがつまらないので寝る。明日はミラノを半日観光して帰国だ。


10月8日最後の日だ。5時に起きて洗面をすます。外はまだ暗く霧雨が降っている。荷物を整理して朝

食へ。食後タバコを吸いに玄関へ。雨はあがっている。

8時。バス出発。現地ガイドはバールバラさん。痩せぎすの背の高い精悍な感じがするきれいな日本語を

話す女性。「これから街の中心部に行きます。はじめにスフォルツェスコ城に行ってそのあとオペラ座の

そばでバスを降りてドゥオモを見学します。ドゥオモでイァフォンを渡しますがこれは入場券代わりで使

いません。ミラノは人口155万人、ビジネスとファツションの街で史跡は三カ所しかありません。イタ

リアでは、200年は新しい、3000年を古いといいます」などなど…。

スフォルツェスコ城下車。ミラノを支配していたヴィスコンテ家の城郭をのちにミラノ公スフォルツァが

改築した城であまり整備がいきとどいていない。時間がないので博物館見学もなく、小雨のなか庭を見る

だけの散歩。改築にあたってはダビンチもかかわったというがそれがどうしたとういう感じ。

8時50分スカラ座前で下車。これからドゥオモ(ミラノ大聖堂)を見学して、10時30分スカラ座玄

関集合まで自由時間。これがスカラ座か、どんな音がするのだろう。入ってみたいけど、叶わぬ夢と、公

演予告の看板だけでがまんする。スカラ座前の広場をぬけてヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリア

に向かう。巨大な門を入ると、ガラス張りのドームがある全長200mのアーケードが続く。

床にはモザイク、壁面には彫刻と贅沢な作りで、中には高級店やカフェが並んでいる。ガッレリアをぬけ

るとドゥオモが立ちはだかる別世界。このドゥオモは、1386年ヴィスコンテ家の命により建設がはじまり

1887年に完成したイタリア最大のゴシック建築だ。白大理石で作られたファサードはナポレオンもかかわ

ったというくらい息の長い建設期間を有している。巨大な聖堂内もみごとなゴチック様式でつくられ特に

ステンドグラスがすばらしい。キリストが磔になったときの釘と初代司教のミイラが聖遺物となっている。

聖壇に見惚れ、ステンドグラスにみとれていたらあっというまに時間になってしまった。

ドゥオモ前の広大な広場にでる。この巨大な聖堂の全景を写すにはかなり遠くへ行かなければならない。

そういうことに興味のない人はさっさとガッレリア内にあるカフェへ行ってしまった。広場を歩いている

とミサンガ押し売りの黒人のお兄ちゃんが寄ってきた。今度の旅行ではじめての「アブナイ」体験。

うるさくつきまとうので「get Lost」と怒鳴ったら、どういう意味なのだろう、とでもいうように小首をか

しげ小さな声でなんども復唱しながら去っていった。この「get Lost」は、昔ヤクザな映画で覚えたもので、

この気の毒なお兄さんが下品なスラングを覚えないといいのだが…。

あとに残ったみなさんもお茶を飲むというので遠くにみえるタバッキーへ走って行ってタバコを買う。こ

こでは簡単に買えた。ガッレリア内のガイドさんお勧めのカフェに行くと席をとっておいてくれた。みな

さんやさしい。カプチーノとみごとなトイレを堪能する。


スカラ座玄関前集合。空港へ向かって出発。バスはブランド街を走る。東京でいえば銀座通り。要人が万

博の工事現場に来るらしく交通規制で道路は大渋滞。警備のさなかタバコを吸っている。イタリアの警察

っていいな。飛行機の時間に遅れては一大事と運ちゃんはあちこち裏道をぬけてようやく高速道路へ。車

中イアフォンガイドを返すと、ストラップはお持ちくださいとのこと。記念にもらってきた。

11時40分 マイペンサ空港着。ガイドさんがチケットの手配をしてくれる。荷物を預けて手荷物チェ

ツクへ。ここは厳しいと聞いていたのでベルトを外していったら一発でOK。まわりでは靴まで脱がされ

ている人がいた。つづいて出国ゲート通過。ここでも韓国人の後ろには並ばないようにといわれた。搭乗

時間には間がある。お腹が空いたのでレストランを探すがどこも満席なので、カウンター形式の店でピザ

とビールを買い、近くのオープンテーブルで食べる。残金を計算する。ユーロを持ち帰っても仕方がない

のでワイン2本とチョコレートを買う。また、手荷物が重たくなった。

2時10分テイクオフ。機内は空いているので3人席を2人で占領。往復とも席にはめぐまれた。


10月9日。日本時間8時23分成田着。空港ロビーで仕掛の仕事の件で印刷会社へ電話する。電車に乗

る前に喫煙所で一服。同行のタバコ仲間ふじみ野さんとお別れの挨拶。ふじみ野さんは80歳とか。若者

にまざって元気に歩いていた。見習わなければ…。


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