12/28のねこさん       文は田島薫



しらんふり


きのうの陽が傾く頃、家人と近所のスーパーへビールその他を買いに行く途中の稲荷神

社の祠の前あたりにグレーとミケの小さい方がいた。われわれが、おーい、ってちょっ

と声かけたりしてみると、ねこさんふたり、こっち向いてから、ミケの方は祠の裏の方

へ逃げ、グレーは早歩きでこっちへ来た。お、来たか、ってふたりで立ってると、4〜

5段の石段を下りそばまで来たグレー、立ち止まるかと思ったら、素通りしてそのまま

左折、われわれのいる道の下り坂の方へ少し歩調をゆるめて歩いて行き、向こう向いた

まま、なにかあたりを見回してるそぶりなんで、われわれは反対の方向へ歩き出した。


いやいや、こ〜木と木と草のあるとこで遊ぶのはぼか〜大好きなんだよな、さ〜、遊ぼ

〜ぜ〜、つてるのに、こいつ、なんだかお参りしてんのかな、おいおい、しょーがない

ね〜、お、あっちでだちの2人組が呼んでるか、じゃ、そっちと遊ぶか〜、とととと、

ってぼくの足が勝手にそっち向いちゃってるね〜、ほらほら、来ましたよ〜、あり〜?

来い、つったわりに、この2人組あんまりうれしそ〜じゃないよ〜だね〜、そ〜いえば、

こないだも、遊ぶのかな?ってこっちがその気んなったのに、そのままぼくは置いてき

ぼりにされちゃったことあったし、ここは、あんまり甘い顔見せないで、ぼくは向こう

行っちゃうふりしちゃお〜、ほら、声かけて呼び戻すんなら今ですよ〜。


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