箱から出られない
肌寒いような先週末の夕方、家人と近所のスーパーへビールなんかを買に行く途中の稲
荷神社となりの家の狭い庭。ねこさんたちはだれもいないように見えたんだけど、よく
見なおしてみると何ケ所かに置かれた発泡の箱ん中に、手前のにはミケ、向こうの縁側
のそばのにはグレーが体を低くまるめてた。手前のミケに声かけてもしらんぷりしてる
んで、愛想のいいグレーの方へ行き、垣根の外から、声かけたら、こっちを見たものの、
ふだんだったら垣根の外へ出て来ることの方が多かったのにきょうはびくとも動かない。
色々事情があることをわれわれは理解してるんで、じゃ、って別れた。
はやくおばさんごはん出してくんないかな〜、たのむよ〜、きょうは特に遅いんじゃね
〜の〜、しかし、きょうはさみ〜ね〜、腹減ってるからよけ〜さみ〜ね〜、この箱入っ
てるとなんとか暖ったかいんだけど、こっからへたに出られないね〜ごはん食うまでは、
つってるそばから、あの2人組がなんか言ってるぞ、出て来い、ってか?おいおい、か
んべんしてくれよ〜、ぼくはここから出られない、って事情があるんだから、またこん
ど、暖ったかい日のごはん食い終わった時かなんかに声かけてちょーだい。お?わかっ
てくれたのかな、よかったよかった、よろしくね〜たのむよ〜。 |