10/5の日記          文は田島薫



近所の人々


先週はその前の週の連休に人々が色んなとこ行っちゃ疲れたような話をテレビや友人が

してるのを聞いたせいか、家のまわりで穏やかに過ごした。

家人は以前からハーブのような植物が好きで、どっかからもらったやつを細々と植えて

水やりなんかをしてたんだけど、今年の春に友人のシャンせんせー夫妻の藍栽培をやっ

てみたところ、けっこう土いじりの習慣がついたようで、野生一筋だったわが家の狭い

雑草園が、なんだかイングリッシュガーデンのような(ちょっといいすぎだけど)けっ

こう整理されたもんになってきた気配。家人は毎日庭出て道わきんとこでコスモスなん

か育てちゃってると、そば通る近所の人々とそれや藍の花なんかの話して話の花も咲か

せてるようで、晴れた日なんかに事務所からそんな風景ながめてるのはのどかだ。

私も時々はつられて風呂の前など庭出て、伸びた枝切ったり草刈ったりいい加減にやっ

てる時のそこをたまたま通るご近所さんとのあいさつもわりにいい気分だったりで。

そうやってご近所と交流してると、あいさつ以上の話をしなかった人ともぽつぽつ話す

機会も出て先日も家人が聞いてはじめてわかったことがあった。毎日運動のためにゆっ

くりゆっくり歩いてて、あうとわれわれとにこやかにあいさつしあう耳と足のわるい高

齢のおやじさんがいて、病気がちなのは聞いてた彼の奥さんを何年か見かけないのは今

も家か病院にいるためだろう、って思って当人にはたずねたことがなかったんだけど、

あまり長いんで、隣人に尋ねてみたところ、4年ぐらい前に亡くなってた、って。

その期間は私と家人の双方の両親が相次いで亡くなった時期でもあったし、近所でも高

齢なおやじさんが3人ほど亡くなってたし。そんな一方、時々あう90才になる別のおや

じさんは、歳とっちゃって〜、って自分でいいながらけっこう元気に歩いてたり。

かと思うと、日曜日の日暮時に家人と近所のスーパーへ水やビールを買った帰り、稲荷

神社のななめ向かいに一人暮らししてる94才のおばさんがめずらしく家の外にいるのに

あって、われわれとうれしそうに話をしあった時の話。おばさん、ずっと2番目の娘の

食堂の手伝いしてたのが、膝が痛くなって無理ができなくなり最近やめたそうだったん

で、ストレッチの仕方を簡単に教えてあげたりしたんだけど、今でもけっこう歩きまわ

ってて元気いっぱいなのに、その3番目の娘は去年のはじめに病気で亡くなったそうだ

し、食堂やってる2番目の娘の亭主はとっくに亡くなってるし、私と同じ歳の1番目の娘

は亭主が腎臓病で毎週3回する透析につきあってるようだし、よく聞いてみると世の中

だれもがなんらかの病気かかえたりしてぎりぎり頑張って生きてるようなのだ。

ま、サバイバルにも見えるこの世界、おたがい、今ある命に感謝しつつ日々を大事に生

きて行こうではありませんか、…なんちゃって。


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