1/13のねこさん       文は田島薫

動かない大ミケ


日曜の午後、家人と近所のスーパーに水やビール買いに行った帰り、行く手の稲荷神

社の方見ると、道路に奥の家の奥さんがいてこっちに気づいて、お互い黙礼した後、

奥さん、奥の方のだれかに手まねきのジェスチャーしている。そばまで行くと、奥さ

んちのアプローチのいちばん奥のひだまりに大きい方のミケが寝そべってて、こっち

をクールな目でながめてる。奥さんがおいでおいで、ってまたジェスチャーしてる横

で、われわれも、よ、って手を上げてあいさつしてみる。ミケ、こっちを怪訝そうに

ながめたり、耳をちょっと立てたりしてから、そっぽ向いて、またちらっとこっち見

て、手をひらひらさせたり上げ下げさせたりしてる3人組をながめてから、またそっ

ぽ向いたまま、もうこっち向かなかった。


いやいや、食った食った、みんなどっか行っちゃったけど、ぼか〜ここでいいや、暖

ったかいし、ここならだれかに昼寝のじゃまもされないし、いやいや、らくちんらく

ちん、って言ってる向こうでおばさんが手ふってるね〜、なんだ〜?こっち来い、っ

てか〜、え〜?行くわきゃないじゃん、ごはん食っちゃったし、行ってもな〜んも、

い〜ことないじゃん、呼ぶのはごはん時だけにしてね〜、よ・ろ・し・く、っちゃっ

てると、あり?また2人が加わってこれも手上げたり下げたりしてんね〜、ん?ぼく

のことじゃなくて、ぼくの後ろにだれかいんのかな?ってふり返ってみても、だれも

いない、から、やっぱ、ぼくのことだな、だから〜、そっちへは行かないんだよ〜、

だ、ばーろー、ねこならみんな来ると思っちゃいけないんだよー、っだ。


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