9/8の日記          文は田島薫



房総の海を見る旅


青春18きっぷ使って長野、新潟、仙台まわりで帰ってきたばかりの先週また、今度

は房総半島へ家人と電車乗って出かけた。というのも、2ヶ月以上前、そこでひと

り人暮らししてる90いくつになる私の昔の事務所の社長であり画家である年の離れ

た「友人」が地元の美術館で個展をやる、って知らせを受けてたので行こうと思っ

てたのと、10日期限の18きっぷが4枚残ってたのを消化する目的があったのだ。

日帰りも可能だったんだけど、前々日ぐらいに画家に連絡すると、泊れ、って言う

んでそうする予定にして翌日房総ひと回りすることにした。

朝8時過ぎの電車で房総に向かい、外房線からいすみ鉄道に乗り換え、個展してる

美術館のある国吉、ってムーミンを観光地キャラクターに使ってる小さな駅に着い

たのは11時だった。そっから、15分ほど歩いて樹木を象徴的に描いた絵を鑑賞。

そこの事務員にあたりに食堂はないか聞くと、外へ出て駅と反対方向の畑のかなた

の国道を指差してあっちにとんかつ屋こっちにそば屋、って言うんだけど、どちら

も往復30分ぐらいかかりそうだし、1時間に1本の電車に乗り遅れそうなんで、や

めにして、来た道にあった小さなスーパーとパン屋で昼飯を済ますことにした。

スーパーで買ったコロッケを向かいのパン屋で買ったパンにはさんで、スーパーの

横にある自動販売機前のテントつきむく木のテーブルとベンチにふたりで座り、牛

乳や野菜ジュースやゆでたまごや味噌ピーナッツといっしょに食った。

いすみ鉄道をひっかえし、大原の小さなスーパーで魚や野菜を仕入れ、外房線もひ

と駅引っ返したとこで下り、駅前の小さなよろず屋で味噌を買い、新しくできた国

道沿いのスーパーを教えてもらい酒を買い、事前にネットで調べた画家の住所めざ

して30分ぐらい歩いたとこで以前来たところと雰囲気がちがうんで地元の人に聞く

とその住所は線路の反対側だという、画家に電話して聞くとやっぱりそうで、指示

通りに着いた時は予定より1時間半も過ぎていた。画家は今か今か、って待ってた

らしく早くビールビール、って騒いだ。買って来たさんまをわれわれで焼き、大根

おろしと千切りやキノコの味噌汁も作り、とーふやまぐろの刺身なんかも出したん

だけど、とーふは画家に、刺身の味は私にも家人にも画家にも不評だった。

翌朝おいとますると、外房線で外房の青い海をながめながら千倉まで行き、11時頃

だったんで昼飯どうすっか、って探すけど駅周辺に食堂が見あたらないんで、よろ

ず屋で、魚肉ソーセージと野菜ジュース、おにぎりにお茶とビール、菓子屋で酒ま

んじゅう買ってから海岸まで歩き、波立つ海ながめながらふたりでそれを食った。

海岸からまた遠回りして駅まで戻り、内房線に乗り換え、今度は午後の鈍い色した

内房の海をながめながら、わが家の方へ電車は走り続けるのであった。


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