4/14の日記          文は田島薫



はなばなの季節


陽気もよくなって来て、外出ると緑や花々も咲きそろい、気持ちいいもんで、家人も、

すぐ、どっか出かけようよ、って言い出すもんで、食料の買い出しなんかも、時々は

いつもの自転車はやめていっしょに歩いて行ったりする。先週は、染織家でシャンせ

んせーの奥さんでもある上野てるさんの個展へ原宿表参道のギャラリーに家人と出か

けた。2年ほど前だと、体調不良で外出などできなくて誘いを断ったりしてた家人も、

是非行きたい、ってスキップするような勢いで大喜びで出かけたのだった。

大盛況のギャラリーには奥さんの他シャンさんもいて、久しぶりにいっしょに酒でも

飲みたいとこだったんだけど、諸事情を考慮して喫茶店でコーヒー飲みながらほんの

1時間ばかり話しして別れた。青山通りのパンやでパン買い骨董通りぬけたとこで買

ったコロッケはさんで小さな公園のベンチでふたりで近くの親子づれふた組の動きを

ながめながらそれを食い、そこらをぶらぶら散歩して帰った。

で、週末も掃除や食料の買い出しやらいろいろ家事して明日は自転車で地元の広い河

川敷の公園の柳見に行こうなどと話したりしながら夕方風呂に入り、出て来たら、そ

うだ、って思い出したことがあった。ふた月前の大雪で庭の山桃の枝が折れたのを、

その後、きれいに切り直して断面保護剤塗ったのを全部すましたと思ってたら、更に

後で2階の窓からもう一ケ所枝がもげた痕が見えたのだ。やり残してたそれを処理し

ようと急に思いたったのだ。丁度心配性の家人が風呂入ってるから、その間に木上っ

て切っちゃおう、ってノコギリと保護剤持って上って行って、ふと、自分が重大なミ

スを犯したことに気がついた。顔から首、手に、独特の刺激を感じたのだ。そうだ、

私は花粉症で、今私がそのまっただ中にいる山桃は花粉をたっぷりためた花盛りなの

だった。しかし、もういいや、乗りかかった舟だ、つーことで、ぎーこぎーこ、太い

枝をけっこう時間かけて切った。もう風呂上がりの顔や首の肌に汗もどっと出て、そ

こへたっぷりと花粉が付着した模様。目は充血と涙でぐしょぐしょになるは腫れるは、

顔も体じゅうかゆいは、で重症。そこへ風呂から出てきた家人からその無謀を怒られ

ちゃうおまけつき。

それでも、晩酌のビールとお酒はしっかりいただいて、その翌日。

少しは症状が軽くなったものの、まだだめそーな顔してるとこへ、家人、きょうは大

丈夫?何時ごろ公園行く、って無邪気な質問。ちょっと様子見てから、って言ってる

と、考えたのか、きょうはやめておこう、って家人が言う。大丈夫だから行こうよ、

って言うつもりだったはずの私、口から自然に、うん、そうだね、って。

で、一日家から出ずに、アコスティックギターとエレキギター弾いて、先日亡くなっ

たイラストレータの安西水丸さんをしのぶ週刊誌読んだりした。


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