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思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
センセーが、渋い笑い話3席用意しました。
こんなときには…
世の中にはわらいたくても笑えないことがある。
山手線の駅。止まった電車の乗降がおわり、ドアが閉まったとき、喪服姿の老婦人が興奮
して「電車に忘れ物をした」と駅員にうったえている。
老婦人の興奮ぶりとは正反対に駅員は落ち着いた口ぶりで「いつの電車ですか」と問う。
「この電車です!」老婦人の興奮はさめやらない。
「何両目ですか」と、落ち着いた口調の駅員。
「そんなのわからない」
「荷物を置いたのは棚ですか席ですか」ますます落ち着いた口調の駅員。
そのとき電車がゆっくりと動き出した。
すると老婦人が「あっ、あれです、あれです」電車の窓越しに棚の荷物を指差した。
この間、ほんの数十秒のできごと…。
小中学校の先輩に郷土史家がいる。
われわれが生まれ育ったところの古い資料がでてきたので見せに行った。
彼は、地元で長年町会長を務めている。かなりの激務である町会長、自治会長、マンショ
ンの管理組合長はなり手がないので、いちどなったらなかなか辞められない。
そろそろ自分の本業に専念したいだろうと、「ここの会長任期は何年ですか」と聞くと、
「ないんだよ。かわりがいなくてなかなか辞めさせてくれない」。そこで思い当たる人が
いるので、「○○さんなんかどうですか」というと「○○さんは、まだ現役だからだめだ
よ」とあきらめた調子でいう。
つづけて、「不祥事をおこせば辞められる。使い込みでもすればいいのだけど、町会の金
じゃせいぜい数十万円。こんなはした金ではつまらない…。そこで残る手段はこれ!」と
小指をたてた。「それを女房に言ったら、『それだけはやめてください』といわれちゃっ
てね」
と苦笑した。
日頃謹厳で知られた先輩の言動に、おもわず吹き出しそうになってしまった。
Jリーグ第5節。鹿島は横浜マリノスに3−1で勝った。サポーターの不祥事で意気のあ
がらない浦和は神戸に1−3で負けた。
3−1の勝利と1−3の負け。成績順位でいうと、鹿嶋1位と浦和11位の1並び。数字
のいたずらといえばそれまでだが、これも笑ってはいけない。