12/1のねこさん       文は田島薫

黄色いねこさん石畳でくつろぐ


先週はねこさん見なかったんで、先々週、わが家の2階の居間から見たねこさんの話で。

晴れてけっこう日射しの暖かい午後、ベランダの開いたガラス戸から奥の家の方を見下

ろすと、少しなだらかな上りになったアプロ−チから続く開いた門扉の向こう側のちょ

うど玄関へ通じる石畳のまん中に、以前にも何度か遇ったことのあるそのねこさんが寝

そべってた。お、ねこだ、ねこだ、ほら、あそこ、って家人とながめてると、こっちに

気がついて目が合ったもんで、ふたりで、よ、って何度か手を上げてあいさつした。ね

こさん、不審そうにこっちをしばらくながめてから、またそっぽ向いて毛づくろいを始

めたんで、それをじっと、ながめてたら、またこっち向くんで、また、ふたりで、よ、

って手上げてあいさつしたら、立ち上がって右手の玄関と逆の左手の方へ歩いて行き、

高いフェンスに飛び上がって向こう側の植え込みに消えた。


いやいや、こんな広々した日当たりいい気持ちいいとこあったのか、知らなかったね〜、

いやいや、気に入った、も〜、ここをぼくの昼寝広場、って名付けちゃお〜、ん〜ん、

この少しざらっとしてて暖ったかい上にこ〜、寝そべっちゃって、いやいや、ぜ〜たく

だね〜、こんないいとこだれもしらなっかたのかな〜、ぼくが初めてみつけた、ってこ

とになるのかな〜、いやいや、じゃ、ここはぼくのもんにしてもい〜、ってことかな?

いやいや、まいった、ん?だれかがなんか言ってる気がすんね〜、ん?あっちか、ん?

変なのがふたりで、なんで、手ふってんの?なんだかうっとーしーね〜、そか、気にし

なけりゃいんだね、見えない見えない、な〜んにも見えなかったよ〜、ってことで、こ

〜、ぼくは気にしないでくつろいでる、ってことで、さて、もう変なのはいなくなった

かな?ちらっ、まだいたか、うっとーしーね〜、だめだこりゃ、行こ行こ。


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